奇妙な基準
コレステロールや痛風の原因になっている尿酸なども同様ですが、体内で70%~80%も合成されるものは、体が適正な量をコントロールできなくなって病気になった時だけ治療が必要となります。
従って正しい方法は、血圧が異常に高くなった時に「血圧を下げる薬」を使用するのではなく、「血圧をコントロールできなくなった体を直す」といことが本来の治療となります。
昔ですが、「肺炎にかかったらペニシリンを」という時代がありました。これは肺炎の原因になる細菌が、抗生物質ペニシリンの注射によって細胞壁を作れなくなり、その結果、増殖が抑制されて肺炎が治ります。これで多くの人の命が助かりました。これはわかりやすい例です。
しかし、インフルエンザにかかって熱が出た場合には、ウィルスの治療薬がなかったので、「胃腸の薬を出すので、とりあえずゆっくり寝て栄養のあるものを食べる」ということになります。治療薬がないので苦痛を除く、または回復を早める薬を出すということで、解熱剤では当座の苦痛を和らげるだけで本当の治療とは言えません。
「血圧を正常に保つ薬」はまだ普及段階ではありません。問題なのは、血圧が正常かどうかを診察することなく、決めた値より血圧が高ければ降下剤を投与するということです。「日本国民は個性や個人差がなく、血圧の正常値を一律にする」と厚労省が決定し、今は130ミリ(65才以下)になっているのです。